【ご案内】先取り履修生を募集しています 信州大学では、長野県内高校生科目等履修生(先取り履修生)を募集します。教育学部が募集する後期分(6月下旬募集開始予定)の科目は以下の通りです。 ■学習科学概論B  「学び方」「教え方」を学ぶ授業です。教育心理学、認知科学、教育工学、教育実践学等のさまざまな学問領域を基盤としている「学習科学」を扱います。オンラインビデオと対面授業を組み合わせて学びます(前期「学習科学概論A」と同じ内容です)。 ■STEAMものづくり⼊⾨ⅠB・ⅡB  科学、技術、工学、人文科学、数学を横断的に学ぶSTEAM教育。その中でも3Dプリンタなどのデジタルのものづくりの基礎を学びます。オンラインで講義やデータ作成+学部で実際に作成演習(休日1日)の体験的授業で、未経験でも大丈夫です。 ■古典文学史Ⅰ・Ⅱ  古典文学史Ⅰでは韻文領域(和歌・俳諧など)、Ⅱでは散文領域(物語・随筆など)の変遷をたどります。中学校・高等学校の教材を中心にそれぞれの特徴や教材としての価値を検討します。受講生の意見交換なども行います。手元に国語便覧があると便利です。オンラインと一部集中授業で行います。  学校の先生になりたい方に特にお勧めします。大学の授業を体験し、進路選択の材料の一つにしてください。詳細は信州大学教育学部ウェブサイト「お知らせ」をご覧ください(ウェブサイト更新が本通信より遅れることがありますが、しばらく後に再度アクセスをお願いします)。 学び通信とは? 信州大学教育学部では、地域のみなさまに向けて、「学校教育の現在」をお伝えするためのメディアとしてこの通信を発行します。次のような特徴があります。 • 信州大学教育学部に所属する教育の専門家の立場から、「学校教育の現在」をわかりやすく解説します。長野県内特有の情報も盛り込み、地域のみなさまに情報提供したいと思います。 • ご自由に印刷配布していただいてかまいません。生徒、教員、保護者等、地域のみなさまとの情報共有にお使いください。 • 「学び通信」からの引用であることを明示していただければ、ご自由に転載してご利用いただけます。たとえば、学年通信・学校通信等の文面としてご利用いただいてもかまいません。テキスト情報は以下のURLからダウンロードしていただけます。 「信州大学学びセンター」で検索 https://cril-shinshu-u.info/archives/product/learning-newsletters 「みんな同じ」でなくてもいい ー 世界の学校から見えてくる学びの多様性 ー 海外に行くと,「当たり前」だと思っていたことが実は世界共通ではないと気づかされることがあります。例えば,トイレのマーク。日本では,男性は青,女性は赤という色分けを目にすることがよくあります。しかし,海外では黒や白など同じ色で統一されていたり,そもそも色や形で男女を区別していなかったりする例も少なくありません。また,国や地域によっては,男女で完全に空間を分けるのではなく,共通の洗面スペースを持ちながら個室のみを分けている施設や,誰でも利用できるジェンダーニュートラルなトイレが広がっているところもあります。 つまり,「こうあるべき」という考え方は,国や文化によって異なるのです。このような違いに触れると「みんな同じでなければならない」という考え方を少し立ち止まって見直すことができます。 実は,学び方についても同じことが言えます。 日本の学校では「静かに座り,前を向き,先生の話を聞いてノートを取る」という授業スタイルが長く一般的でした。もちろん,この方法が合う人もたくさんいます。しかし,世界には本当にさまざまな人がいます。周囲の物音が気になってしまう人もいます。逆に,少しざわざわしている空間の方が安心して集中できる人もいます。狭く区切られたスペースで落ち着いて学びたい人もいれば,友達と自由に話し合いながら学ぶことで理解が深まる人もいます。 どれが「正しい」「間違い」ということではありません。 海外の学校では,こうした違いを前提として学習環境を工夫している例が見られます。静かな空間で集中できるようにヘッドフォンを使える学校もありますし,パーテーションや小さなブースを置いて,一人で落ち着いて学べる環境を整えている学校もあります。また,机を自由に移動してグループで話し合ったり,ソファや床に座ったり寝転んで学んだりできる教室もあります。そこには「みんな同じやり方で学ぶ必要はない」という考え方があります。 もちろん,学校にはルールや協調性も大切です。しかし,多様な人がいる社会の中では,自分と異なる感じ方や学び方を知り,認め合うことも同じくらい大切なのではないでしょうか。 世界に目を向けると,「普通」や「当たり前」は一つではないことがわかります。そして,違いをなくすことではなく,違いを受け止めながら一緒に生きていくことが,これからの社会には求められているように思います。 学校もまた,同じです。 静かな場所で力を発揮できる人もいれば,対話の中で学びを深める人もいます。みんなが同じ方向を向き,同じ方法で学ぶことだけが「よい学び」ではありません。一人ひとりの違いを認め,多様な学び方を選べる学校が増えていくことで,誰もが安心して学べる社会につながっていくのではないでしょうか。 海外の教育を知ることは,単に外国の文化を学ぶことではありません。自分たちの「当たり前」を見つめ直し「違い」とどう向き合うかを考えるきっかけでもあるのです。 (信州大学教育学部附属次世代型学び研究開発センター 森下孟)