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【高校生講座】「心理学でわかりやすく楽しい教材を作る」

8月20日(水)、信州大学STEAM教育プログラム高校生講座「心理学でわかりやすく楽しい教材を作る」がオンライン(Zoom)で行われ、信州大学教育学部 島田英昭先生が、心理学の知見に基づいて行われた「教材の分かりやすさ」と「学習意欲を高める効果」に関する研究についてお話いただきました。
島田先生は、まず「心理学とは何か」について解説されました。 心理学は、中学校や高校の理科に最も近い学問だと考えることができます。なぜなら、実験や調査(アンケート調査など)を通じてデータを使い、物事を解明していくことを重視するからです。
心理学は人間の**「考え」「思い」「感覚」といった目に見えないもの**を対象とします。例えば、「不安」という感情を数値化して研究することで、どのような状況で不安が生じ、どうすればそれが和らぐのかを探求するといったアプローチを取ります。
心理学者は「人に興味がある人たち」の集まりであり、人々がどのように行動し、反応するかを観察しています。現在のAI研究も、元々は人間が持つ知的特性の解明に興味を持った心理学者と密接な関係がありました。とお話いただきました。

続いて、主に以下の2つの研究テーマについてお話いただきました。
1. 差し絵の動機づけ効果
2. 教授キャラクターの動機づけ効果
これらの研究の背景には、インターネットの普及により情報が飽和した現代において、教材が「選ばれる」ことの重要性が増したという認識があります。
島田先生は「もしかしたら内容と無関係な差し絵でも何かの意味があるのではないか」という仮説を立て、特に教材が「選ばれる」最初の段階でその効果が発揮されるのではないかと考え、研究を進めました。具体的に行った実験についていくつか紹介がありました。
 

島田先生のお話から、教材制作や情報発信において、見た目の印象がいかに重要か、そしてその裏には確かな心理学的メカニズムがあることが分かりました。たった数秒の判断が、その後の学習意欲に大きく影響するというのは驚きました。情報を伝える際には、単に内容だけでなく、視覚的な要素や伝え方にも工夫を凝らすことの重要性を再認識させられました。
最後に、受講生からも深い質問が多くありました。受講生の探究の一助けになれば幸いです。

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